「メールを見たら早く返事が欲しい」「空メールでもいいから」「それくらいできるだろう?」
できないから、できてないんだ。
そんな単純なことが、意外と人は分かっていない。分かってくれない。分かろうともしない。
なぜ他の人が自分と同じ感覚だと思えるのだろう。
何かについてできていない人に対して「それくらいできるだろう?」というのは、「バットを振ってボールに当てたらホームランくらい打てるだろう?」というのと同じくらい乱暴で無神経な言葉だ。
人にはいくら頑張ってもできないことがある。
人にはそれぞれ適した(あるいはそれ以外に選びようのない)やり方がある。
スポーツや創作の世界では理解されやすいことだけれけど、日常生活にもそういうことがたくさんあるということを理解していない人があまりにも多い。
できない人の方が少数派なら尚更だ。
「それくらいできるだろう?」「なぜそんなこともできないの?」
そうやって多数派は語気を強めて、少数派はさらに言葉を飲み込む。
できないことは悪いことなのか。
いや、決してそんなことはない。
悪いんじゃない。できないだけだ。それだけだ。
できることと、できないことがある。それだけだ。
僕はせめて、できないことを自分で認めよう。
卑屈にならないでおこう。
そしてもし可能ならば、誇りを持とう。
僕は僕として、今ここに存在している。
それすら疑ってしまうときもあるけれど、とりあえずそういうことにして受け止めていこう。
僕が誰かの救いになれる日が来ることを信じて。
『ぼくのお日さま』 by ハンバート ハンバート