メジャーリーグなどの試合で、選手がときどき唾を「ペッ」と吐き出すのを見たことがありますか?
日本のプロ野球でも、外国人選手がたまに同じことをしていますよね。
なんであんなことをしているかというと、「噛みタバコ」を噛んでいるからです。
唾液にニコチンが溶けて出しているので、飲み込むことができないんですね。
なぜわざわざそんな健康に害のあることを、プロのアスリートがしているんでしょうか?
気になったので調べてみました。
なぜメジャーリーガーが噛みタバコを噛んでいるのか?
「噛みタバコは大リーグ文化の一部」だと言われているそうで、その起源は 150 年以上前にさかのぼります。
今の野球のルールの原型ができたのが 1845 年で、その当時から噛みタバコは使用されていたそう。
その理由は、
- 当時はグラウンドの全面が土で乾燥していたため(口の中の乾燥を防ぐために、大量の唾液がでる噛みタバコを使用した)
- 噛みタバコの使用で出た唾液をグラブに付けて柔らかくしたり、ピッチャーが球に唾を付けて変化させていた
という 2 つ。
当時は当時なりの「実用的」な理由があったわけですね。
【参考】大リーグは噛みタバコ、日本のプロ野球は紙巻タバコ、どうしてこんなに好きなんだろう - 夢と希望と笑いと涙の英語塾
しかし、現在のグラウンドは芝が当たり前ですし、口の中がカラカラになるほど乾燥することもないはずです。
また、グラブの手入れも専用のクリームくらいあるでしょうし、ピッチャーはロジンバッグを使って滑り止めをしています。
(それに、「唾を付ける」こと自体が現在はルール違反)
なので、現在の選手が噛みタバコを使用する「実用的」な理由は、何もありません。
ではなぜ現役のメジャーリーガーが、噛みタバコを使用しているのか……。
その理由は意外なものでした。
なんと「憧れ」なのだそうです。
あこがれの大リーガーが愛用する姿を見て、次世代がまねるという連鎖。DeNAのバルディリスは、米国でプロ契約した10代の頃から愛用しているという。「みんなかんでいたから。野球選手のステータスみたいなものだ」。
大リーグは噛みタバコ、日本のプロ野球は紙巻タバコ、どうしてこんなに好きなんだろう - 夢と希望と笑いと涙の英語塾
「自分もいつかメジャーリーガーになったら、あの選手みたいに噛みタバコをクチャクチャするんだ」
という強い憧れ。
まぁ、分からないではないですけどね……(-.-;)
昔の日本でも、映画やドラマでタバコを吸っている姿に憧れるということはありましたが……。
それと似たようなものですかね。
長い歴史があるだけに「メジャーリーガーはそういうもの」という固定概念が出来上がってしまっているようです。
噛みタバコに対する規制も
しかし、さすがに害しかないと分かっているものを放置するわけにはいきません。
マイナーリーグでは、すでに 1993 年から完全に禁止されているそうです。
メジャーリーグでも規制に向けた動きはありますが、まだまだ全面禁止には程遠い状況。
それほどまでに「憧れ」や「伝統」は根深いものなのでしょうか。
ただ、リーグとしてではなく、各都市の法令によって無煙タバコ(噛みタバコを含む)の球場内での使用が禁止されるケースもあるそうです。
煙が出るタバコは言うまでもなくNGだが、米国内の都市法令によってボストン・レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツ、シカゴ・カブス、シカゴ・ホワイトソックス、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ロサンゼルス・ドジャースの各本拠地球場では無煙タバコの使用も禁止だ。
なぜ日本のプロ野球選手に、愛煙家が多いのか (5/5) - ITmedia ビジネスオンライン
また、これからデビューするメジャーリーガーについては、全選手が球場内での無煙タバコの使用が禁止されるとのこと。
17年シーズンからはMLB機構側と選手会側が合意した新労使協定によって、同年以降メジャーデビューする全選手の球場での無煙タバコ使用が全面的に禁止されるようにもなっている。
これにより、メジャーリーガーのかみタバコ愛好家は近い将来、完全に「ゼロ」となる見込みだ。ニコチン依存は自身の健康に悪影響を与えるだけでなく、憧れの対象となるメジャーリーガーたちのマネを子どもたちがしてしまう危険性があることを行政及びメジャーリーグ側は危惧し、これに釘を刺した格好といえる。
なぜ日本のプロ野球選手に、愛煙家が多いのか (5/5) - ITmedia ビジネスオンライン
つまり、
いま噛みタバコを使っている選手が全員引退したら、そのとき全面禁止が達成される
ということですね。
うーん、なんという妥協案(笑)。
まぁこれが現実的な落とし所なのかも知れません。
噛みタバコの代用品は?
噛みタバコの規制が進むもっと前の 1970 年代後半、噛みタバコの代用品として使われ始めたのが「バブルガム(風船ガム)」です。
1970年台後半、マイナーリーグのポートランド・マーベリクス(Portland Mavericks)にいたピーチャーの2人、Rob NelsonとJim Boutonは、どうしても噛みタバコの習慣が受け入れられませんでした。
そこで考えたのが、バブルガムを繊維状にして噛みタバコのような形状にしたら、噛みタバコの代わりになるぞ!となったのです。
その商品が「Big League Chew」です。
メジャーリーガーがガムを噛む理由!アメリカで人気の種類とメリット | 井戸端アメリカン
現在でも、噛みタバコの代用品と言えばガムが一般的なようですね。
中でも有名なものが「Dubble Bubble」という商品。
いかにもアメリカンなケースに入ってますね(笑)。
通販サイトやコストコで手に入るようです。
ガムの他に人気(?)なのが、なんと「ヒマワリの種」。
ただ、これは「美味しいから」ではなくて、ただ単に「暇つぶし」という理由が大きいようです。
なぜメジャーリーガーは試合中にヒマワリの種を食べるのか。もうお分かりの方もいるかもしれないが、ようは選手の「暇つぶし」が理由である。試合に出場している選手はいざしらず、ベンチで出番を待っている選手、そしてブルペンで登板の機会をうかがう選手の絶好の退屈しのぎの「種」となっている。クラブハウスやベンチには、ヒマワリの種の他にカボチャの種が用意されることもあるが、カボチャの種はヒマワリの種に比べて大きいため、口の中でもてあそぶには適さず、小粒なヒマワリの種が圧倒的な人気を誇る。
なぜメジャーリーガーは、ベンチで「ヒマワリの種」を食べるのか : J-CASTニュース
メジャーリーガーは常に何かを口にいれていないと、落ち着かないようですね。
これも国民性なんでしょうか。
メジャーリーガーが噛みタバコをクチャクチャする理由まとめ
いずれ噛みタバコが全面禁止になる日が来るんでしょうが、そうなっても何かをクチャクチャするのは変わらないようです。
そして、それに憧れる野球少年たちも大勢いることでしょう。
彼らがメジャーリーガーになる頃には、ガムの糖分などが問題になっているかも知れませんね(笑)。