評価:★★☆☆☆
WOWOW(録画)で鑑賞。
まぁこんなもんか、という感じ。
ときどきフワッと盛り上がる場面があるだけで、あとは特に見せ場もなく。
原発(を推進する政府)への批判をしたいのであれば、もっと深く問題に切り込まないと説得力がない。
途中で節電するシーンがほんの少し出てくるけど、原発を止める(無くす)ことのリスクってのはそんな安易なものではないわけで。
そういうのを全部引っくるめて理解した上での「それでも」とか「知った事か」という犯人の動機がなければ、感情移入なんてとてもできない。
結局は家族とか「無能な官邸」とか、ありがちで無難なところに力点が置かれていて非常に残念。
セリフも演出も不自然なことが多くて、その度に「ん?」となるのでまったく入り込めなかった。
特にセリフ回しは他の堤幸彦作品と同じく冗長で締まりがなく説明臭い(要するに長ったらしい)。
最新鋭のヘリに子どもがあんな簡単に入り込めるってのもねぇ。
主人公の息子の救出にかなりの時間を割いてるけど、あれは無くてもいいような気がする。
犯人の境遇と照らし合わせたかったんだろうけど。
ムリヤリ感がかなり強い。
要らないと思うなぁ……。
阪神・淡路大震災の被災者の一人として、ああいう描き方・使い方をされるのは正直とても不快。
原作が 1995 年に出版されたらしいので、それをそのまま採用しているだけなのかも知れないけど。
出版から 20 年も経って、しかも 2011 年の地震の後に映画化するというのに、時代設定を変えずにこのテーマの映画を作る意味がよく分からない。
この映画で描くべき問題は「今」のはずなのに。
なぜ「ちょっと昔」の時代でなければならなかったのか、理解に苦しむ。
手塚とおる、柄本明、國村隼など、脇を固めた役者陣にかなり助けられてる。
江口洋介と本木雅弘も頑張ってたけど、ちょっと可哀想。
堤幸彦はやっぱり長編よりも小ネタ満載の連ドラとかの方が良いと思う。