僕はずっと自分のことを「人に頼ることができない」と思ってきた。
でも、それはちょっと違っていて、より正確には「人に借りを作りたくない」ということなのだと思い至った。
借りは返すもの。
人に借りを作ってしまうと、その分を返さないといけない。
だから、借りを作らない。作りたくない。
それが僕のかなり根本にある考え方であり行動原理だ。
そしてどうやら、その裏返しで他人にも同じことを求めてしまっているらしい。
つまり、「自分はこれだけのことをしたんだから、その分を返してほしい」あるいは「返ってくるはず」と思っている。
だからそれが期待通りに返ってこないときに、強いストレスを感じてしまう。
「これだけのことをしたのに!」「僕はこんなに他の人のことを思って!」
いわゆる「無償の愛」とは真逆の価値観だ。
僕はそれに気付いていなかった。
何も求めていないつもりでいたのに、見返りを求める強烈な欲が原動力になっていた。
そりゃあしんどくもなる。
くたびれない方がおかしい。
「どんなに力を尽くしたって何も返ってこないこともある」
「返せないほどの借りを作ったって少しずつ返していけば良い」
そんな風に考えられたら、少しは楽になるだろうか。