感想とか

映画『きみはいい子』の感想。

評価:★★★★☆

映画館(テアトル梅田)で鑑賞。
15:10 の回。後ろの方を中心に、半分から 3 分の 2 ほど席は埋まってた。

全体的には好き。
いくつかのエピソードが並行で展開しながら緩やかに繋がったりもして、それぞれの(一応の)救いまで描かれているのは良かったと思う。

子育ての仕方って基本的には自分の親しか知り得ないから、自分が親の立場になったらそれをモデルにするしかない。
それが虐待の連鎖に繋がったりもする訳で。
随分前から言われてるはずなのに、未だに誰も解決策を見出だせていないってことは、やっぱり相当難しくて複雑な問題なんだろうなぁ。
この作品はそれに対する一つの提案というかメッセージにはなると思う。
たぶん誰かが教えてあげないといけないんだよね。
「こんな方法もあるんだよ」「あなたは知らないだけなんだよ」って。

僕が子どもを持ったとき、果たして陽子(池脇千鶴)みたいな接し方ができるだろうか。
ストーリーとはまったく関係ないところで、もやもやとした不安感が澱みたいに残ってる。

僕的には富田靖子の号泣がクライマックス。
ふとした瞬間に人からかけられた声によって色んなものが溢れ出てくる感じ、よく分かる。
初めて劇場で泣きそうになった。あぶないあぶない。
誉められたとか認められたとか、そんな大げさなことじゃなくて、ただただ肯定されただけなんだけど、その「何でもなさ」が嬉しいというかありがたいというか。
自分のことを批判するでもなく、馬鹿にするでもなく、あるいは逆に励まそうとするでもなく、「あら、そう」なんて態度で受け容れてくれる人が「まさかこんなところに居たなんて」という、思いもよらぬ発見の驚きと興奮と安心感とその他諸々がないまぜになった何かがドロっと出てくる。
あのシーンの芝居は誰にでもできるもんじゃない。
演技のテクニックとかだけじゃなくて、人として背負ってるものがないと、あの生々しさは出ないと思う。
富田靖子、改めてすごいッス。
おばあちゃん役の人もすごく良かった。あのシーンはこの人があってのこと。
あの障害を持った子どもは演技なのかな? だとしたらそれもすごい(演技じゃなかったら、それはそれですごい)。

メインであるはずの高良健吾と尾野真千子のエピソードは若干弱めで、あんまり感情移入できなかった。
(タイトルのそれとはニュアンスが異なる、いわゆる「いい子」の高良健吾の話は別な意味で「分かる分かる」ってなったけど)
矛盾や漏れがないようにしてるからなんだろうけど、説明のためのシーンやセリフが多いせいで若干回りくどくて面倒くさい。
まぁこのあたりは人によって感じ方が違うんだろうなぁとは思う。
公開前に『ボクらの時代』に尾野真千子と呉美保監督が出ていたときに、「子どもを殴るシーンは、実は尾野真千子が自分で自分の手を叩いていた」というエピソードを言っていて、本編を観ながらそれを思い出してしまった。
先に聞かなきゃよかったなぁ。

あの終わり方も賛否分かれそう。
僕はどちらかというと「否」寄りだけど、「すべて丸く収まりました。ちゃんちゃん」で終わらないためには必要なシーンなのかな、とも思う。

あれだけ色んな「家族」が出てくるのに、一つも「夫婦」が出てこなかったのは疑問。
話がややこしくなるからなのかも知れないけど、母子ばっかりというのは(父子もほんの少しあったけど)やっぱり不自然に感じる。

演出が過剰気味なのはかなり気になった。
ちょっとずつズームしていくシーンが割と多めで、BGM も空気を変える(あるいは観客に知らせる)ためにムリヤリ入れているような感じ。
大事な場面になるとばっちり一人だけアップになるし。
生徒の母親の口元がアップになるのも確か 2 回はあった。
割とベタというか、分かりやすくていいという人も居るんだろうけど、僕としては解釈の幅が狭まるような気がするのでそういう「分かりやすさ」はちょっと苦手。
カメラの「こっち側」の存在をどうしても感じてしまうし。
最後の CG も余計。ああいうのはちょっと白ける。おかげで出かかっていた涙も引っ込んだ。
ベースはちゃんと出来てるし、俳優陣もしっかりしてるんだから、そこはもうカメラをがっちり固定して、演者たちに任せてしまってよかったんじゃないかと思う。

池脇千鶴のおばちゃん感が半端なかった。『ジョゼ』とか『パーマネントのばら』とかに出てたのと同じ人とは思えん。ザ・女優。
高橋和也も良い味出してた。さすがの職人。

教室にオイルヒーターがあるから寒い地域で撮影したのかと思ってたら、北海道だったのね(エンドロールで分かった)。
劇中では地域を特定するようなことはなかったけど、ここを選んだ理由とかあったんだろうか。
イメージが合ってたってだけなのかな。

-感想とか
-, , , , , , ,