泣くかもな、とか思ってたけど、そんな暇なんてなかった。
もう楽しくて楽しくて。
これまで観てきた誰のどんなライブよりも、最高に楽しくて嬉しくて笑顔と歓声に包まれている空間。
文字通り夢中になって楽しんでいたら、あっという間に時間が流れて終わってしまった。
「あー、やっぱり僕は THE BOOM が好きなんだなー」と思った。
この幸せな感覚をもう味わえないかと思うと、本当に寂しいし悲しい。
「ありがとう」を言ってしまうと終わってしまう気がして、なかなか言えなかった。
今日はそれを言いに来たのに。
でも、最後の最後に何とか言えたから良かった。
ライブ中ずっと大声を出してたせいでほとんど声は枯れてたのに、そこだけは言葉になってくれた。
ちゃんと言えて、本当に良かった。
メンバーに届いたかな。
届いてるといいな。
セットリストはあんまり覚えてない。
ただ、初期の頃(『極東サンバ』あたりまで)の曲が多かったような気がする。
アレンジも原曲に近い感じだったような。
いろいろと趣向を凝らすというより、シンプルに「歌」が伝わってくる内容だった。
まさかの二部構成。
でもまぁ 3 時間弱という長丁場であることを考えると、確かに途中で休憩を挟んだ方が良いよね。
しかしそのことにメンバーがまったく触れることなく普通に一部が終わって普通に二部が始まったのはちょっと面白かった。
あ、二部の最初に『TAKE IT EASY』のデモテープバージョンが流れて、それを BGM に昔の写真がスクリーンに映しだされたのはとても良い演出。
歌に多くの時間を割こうとする分、MC はちょっと少なめだったような。
メンバー紹介はちょっと笑った。
宮沢さんが一人ひとりメンバーを紹介していって、タカシさん・山川さんの後に「20 年も 25 年もやってると色んなことがある。でもこの人の笑顔のおかげで何とか続けてこられたような気がする」ということを言っていて、流れから考えても間違いなく栃木さんの順番という場面で、宮沢さんは躊躇することなく「オレ!」。
それはもう高らかに「紹介します! オレ!」。
フェスティバルホールがドッカ~ン!
まさか『ダーリン』が生で聴けるとは。
『帰ろうかな』の前奏が流れたときはとても嬉しかった。なぜかヒストリーアルバムにも入ってないし。
『Call my name』はさすがにちょっと泣きそうになった(でもなんとか耐えた)。
メジャーデビューから 25 年、そして僕が THE BOOM というバンドを知ってから約 20 年。
いつの間にかその存在が当たり前になっていたのかも知れない。
THE BOOM は解散なんてすることなく、いつまでも活動し続けてくれる。
そんな期待や安心感や油断のようなものが僕の中にあったのかも知れない。
だからこそ初めてその事実を知ったときはものすごくショックだった。
THE BOOM と関わることを疎かにしていたことを恥じ、激しく後悔した。
「いつでも聴きたいときに聴けるし、ライブも行きたいときに行ける」
そんなこと有り得ないのに。
どんなものにも終わりはいつか来るというのに。
そんな当たり前のことまで、僕は THE BOOM に教えられてしまった。
解散という最後の瞬間まで、僕はずっと THE BOOM に教えられっぱなしだ。
結局、その関係性はこれからも変わらないんだろうと思う。
新しい歌や活動を目にすることはできなくなるけど、それでも THE BOOM はいつでも側に居てくれるし、色んなことを教えてくれるし、ときには叱ってもくれる。
僕にとって THE BOOM はそんな存在であり続ける。
そんな気がする。
そうであって欲しい。
バンドはまだツアー中だけど、ひとまず「お疲れさま」を。
言葉にはならない寂寞の思いを。
そして、心からの「ありがとう」を。
僕もさよならは言いません。
人の胸で泣きたいとき、一人きりじゃ負けそうなとき、またあなたたちの名前を呼びます。
そのときはどうか、何食わぬ顔で応えてください。
変わっていく僕の前に、いつもの THE BOOM で現れてください。
たくさんの歌をありがとう。
たくさんの夢をありがとう。
たくさんの気持ちをありがとう。
たくさんの心躍る瞬間をありがとう。
あなたたちのおかげで、僕には数え切れない宝物ができました。
本当に、本当に、ありがとう。
最後にもう一度、何度口にしても伝えきれない感謝の気持ちを。
ありがとう。