評価:★★★★☆
劇場(シネ・リーブル梅田)で鑑賞。
圧巻の神木隆之介。これでまだ22歳か。すごいな。
観終わったときの感覚は、戯曲というよりドキュメンタリーに近い。
人間はあっち側とこっち側にいつでも分かれていて、明確な境目が存在する。
結の変わりっぷりが全てを物語ってる(そういう意味で門脇麦の演技は見事)。
ラストシーンはそれを否定するようなある種の希望で、最初に殺されたノクスの駐在員も克哉と親交があったっぽいことを考えると、新しい関係が築かれようとしている予感はある。
ただ、最後のアナウンスが「まもなく日の入りです」になってたように聞こえたから、もしそうなら立場が逆転したってことなのかも知れない。
すべてに絶望したキュリオの村人たちと、そもそも希望や不満を抱くことすらしないノクスたち(たぶん合理的でないから)。
そんな中にあって唯一希望を抱き続ける鉄彦と、不満と絶望を口にする森繁は、それぞれの世界においてかなり異端の存在。
だからこそ惹かれあったのかも。
なぜウィルスに感染して太陽の光に当たれなくなった方が支配者層になったのか、という疑問は最後まで分からなかった。
逆なら分かるんだけどなぁ。
(パンフを読んだら「若く健康な肉体と高い知能を有する新人類」とのこと)
最初の事件から10年経ってたことに気付いたのはだいぶ最後の方になってからだった。
振り返ればそれより前にも気付くチャンスはあったけど、もうちょっと分かりやすくして欲しかったなぁ。
高橋和也の「何となく気持ち悪い人」は本当にうまい。
古舘寛治はこの作中で唯一の真人間だったかも。