難聴の症状は、なかなか客観的に判断することが難しい。
数字で出るのは聴力検査の結果くらいだし、目で見て分かるような体の変化がある訳でもない。
その分、患者自身が症状を正確に把握して、他の人が聞いて理解できる言葉に変換する必要がある。
そのためには、普段から自分の体や感覚を観察して、それを表す言葉を探しておくことがとても重要。
診察のときになってから考え始めても、まず良い結果は得られない。
時間は限られてるし、基本的に先生はみんな早口だから(笑)。
別に、難しい言葉を使う必要はない。
ただただ「正確に」、そしてなるべく「具体的に」、それだけを意識する。
例えば、
・聞こえづらいのはどちらの耳なのか
・自分の声が響いている感じはあるか
・人との会話は困らずできるか(すべて聞き取れているか)
・後ろから、あるいは遠くから呼び掛けられて気付けるか(気付けなかったことがあるか)
・テレビの音が聞こえづらくなったりしてないか
・特定の音(大きな音、高い音など)を聞いて耳が痛くなること、違和感を感じるはないか
・耳鳴りはあるか、あるならどちらの耳か、その音は「ピー」なのか「ゴォー」なのか「ブーン」なのか
・めまいはあるか、あるならどんなめまいか(フワフワする、クラクラする、グルグルするなど)
・症状を初めて感じたのはいつか
・ジワジワきたのか、急にきたのか
・そのときと比べて今と症状は変化しているか、どのような変化か
・症状が出る前に、大きな音を聞いたり強い衝撃を受けたりしてないか
・症状がひどくなるのはどんなときか、時間帯や天気などに関係ありそうか
……等々。
挙げればキリがないけれど、逆に言うと、それくらいこちらから伝えられる情報はあるし、先生も必要としているということ。
様々な判断をする上で、情報は多ければ多い方が良いに決まってる。
自分の身を守るためにも、どんな些細なことだろうが拾い上げて、正確に伝える努力は欠かせない。
診察が始まり先生を前にすると、なかなか落ち着いて話すことは難しい。
特に、症状が急に出てきたり、病院や診察というシチュエーション自体に慣れていなければ、頭が真っ白になったり混乱したりすることはむしろ当然。
それは誰でも同じこと。
慌てたり焦ったりした状態で、すべての事実を詳しく正確に伝えることはまず不可能。
だから、そんな状態にならない方法を考える必要がある。
もしどれだけ事前に準備しても、口にするのが苦手な場合は、簡単なメモ書きをして持っていくことをお勧めする。
間違った情報を伝えてしまうより、何も言わずそっと先生にメモを手渡した方がよっぽど役に立つはずだ。
その方が先生も質問しやすいだろう。
自分のことは自分にしか分からない。
聴力検査の結果も大事だけれど、患者の主観的・一次的な情報は、貴重な判断材料になる。
それを生かすも殺すも自分次第。
しっかりとまとめて、伝えるように心がけたい。