長島一茂さんが書いた『乗るのが怖い 私のパニック障害克服法』という本を読みました。
一茂さんって、テレビで見ている姿からは
- 「いつも元気」
- 「好き勝手やってる」
- 「ストレスとか無さそう」
という印象があったんですが(笑)。
意外にもパニック障害を経験し、その影響でうつ病にもなったそうです。
(現在はほぼ克服したとのこと)
この本は、その経験を基にしたパニック障害の克服法を紹介したもの。
正直、医学的な根拠はかなり乏しいものばかりですし、万人に通用するかどうか疑問に感じる内容も多いようには感じました。
それでも当事者の体験は、今も苦しんでいる人たちにとって貴重な情報。
ひょっとしたらバシッとハマる対処法が見つかるかも知れません。
この記事では、そんな一茂さんの体験から得られた対処法や考え方の数々を、少しずつ箇条書き程度に紹介していきます。
その中で気になったものがあったら、実際に本を読んで詳しく調べてみてください。
ただ、パニック障害を発症してからのエピソードも生々しく書かれているので、そういうのがしんどい人は気を付けてくださいね。
対処法だけが読みたい人は、第二章から読み始めることをおすすめします。
※僕はこの本を Kindle で購入したのでページ数という概念がなく、紹介した内容の位置は「No.○○」という表現で記述します。
クリックできる目次
『乗るのが怖い』を書いた目的
長島一茂さんが『乗るのが怖い 私のパニック障害克服法』で目指したのは、
「これまでのパニック障害本にはない、体験者ならではの目線を貫いた、リアルかつ実践的なパニック障害克服法」
だそうです。
そのために、
「なるべく医師と薬に依存しないで、誰もが気軽に実行可能な」パニック障害克服の対処法をできる限り詰め込んだ
とのこと。
自身の体験談を生々しく書いているのも、そうした目的があるからなんですね。
気合いでは無理
No.791
「気合いでは無理」だと、ようやく気がついた。そして、病院に行ったり、いろいろな関連本を調べてみて、あまり筋力トレーニングをやりすぎるのはむしろ逆効果だとわかったのだった。過度な筋トレをすると体内に乳酸(疲労物質)が溜まる。そして、その乳酸がどうやらパニック障害には非常に悪いらしいのだ。
- 理想的には、夜 10 時~朝 6 時ぐらい、つまり、成長ホルモンが出ている時間帯には、なるべく寝ていたほうがいい。
- 一茂さんのめまいの治療の経緯
メリスロンと精神安定剤
→ビタエックス 30 内服液(プラセンタの入っているドリンク)、脳活性(カプセル)、タチカワ電解カルシウム(ドリンク)を 2 年間
→最終的には漢方で体質改善をして、耳の三半規管に溜まった水を排泄する
→現在は漢方も飲んでいない - めまいを持っているような人は、水分の摂取過多はダメ。
No.826
- 気の持ちようで治るものではない
- パニック障害でない人が当事者の苦しみを理解することは不可能
→家族にさえ 100% 依存しないことも大事
自分の身体は神様からもらった肉体だと思い、
自分の中の自分と対話し、
自分で自分の身体をいたわること。
なぜなら、結局のところ、自分の肉体は自分の魂しか褒めてくれないから。
孤独と飢えに立ち向かえば、パニック障害は克服できる
No.852
- 孤独と飢えに立ち向かえたら、ほぼパニック障害は克服できる。
- 調子が悪くなったときは、食事を 1 日 1 食にする。断食もおすすめ。
- 毎日短時間でも意識的に自分を孤独にする。
- より刺激的なことを求めてしまう「もっともっと症候群」から抜け出す。過剰な何かを削ぎ落としていく。
偽善者であることを受け入れる
No.962
- 親鸞聖人の『歎異抄』……「自分を偽善者だと思うことの大切さ」に気づかせてくれる
- 「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」=「極悪人ほど極楽浄土に行ける」
- 人間は嘘をついて当たり前。偽善者で当たり前。
- どう見られるかをどれだけ気にしても、人は他人から勘違いされたまま死んでいく。
No.998
- 「捨てる」ことが大事
- 真面目で律儀な人は、捨てることに罪悪感を覚えてしまう。
→パニック障害やうつ病を繰り返す要因に - 偽善者になってでも、「余計な仕事や人間関係はばっさり捨てる」ことが重要
- 職場を捨てることが難しくても、自分の考えを変えることはできる。
No.1031
- 「自分が戻る場所」「初心に帰れる場所」を見つけることが重要
- 人生の最終目的は「幸福感」であってはならない。
→継続するものではなく、3 日も経てば消えてしまう - 目的とすべきは「自分が何であるのかを知ること」。
- そのためにはネガティブなことをたくさん考えたほうがいい。
自分のネガティブさを真正面から認める方が、失敗したときのショックが小さくて済む。
No.1078
- 死の恐怖に慣れる
- 『歎異抄』にも「死ぬことは怖いことではなく、むしろいいこと」と書いてある。
- 死を考えていないと、生きていても何も考えていないのと一緒。
パニック障害の克服には、自分を深く知ることが必要
No.1112
- 根本的に治すためには、自分で自分のカウンセリングをして、自分のことを深く知る必要がある。
- これをしなければ、薬や医師に依存して頼り続けることになる。
- 1 日 1 回でも自分の顔を鏡で見てカウンセリングする。それに基づいてちょっとした考え方や生活スタイルの転換をすればいい。
それが「パニックなんて怖くない」という希望や自信につながる。
パニック障害には睡眠・食事・運動も重要
No.1133
- 体調が悪いときは、夜 10 時前に 3 日連続して寝る。
- 「仕事が忙しくて」という人は、まだ本気で治す気になっていない。
- うつなどで不眠の場合は、医師から処方された睡眠導入剤を飲んででも早寝するべき。
- 朝日を浴びながら背筋を伸ばすだけでも効果的。
- 散歩などの軽い運動をすればなお良し。
No.1153
- 身体を温めるものを食べる。
- 玄米、麦飯、雑穀、生姜やネギ、魚や鶏肉。その他、東洋医学や薬膳で「赤物」と分類されているもの。
- アルコールは控えるべきだが、どうしても飲みたいときは日本酒や赤ワインなどの赤物(=身体を温めるもの)を嗜む程度に。
- 白物(=身体を冷やすもの)は控えるべき。白米、白砂糖など。
- 脂っこいものも経験上よくない。魚や鶏肉は良いが、豚や牛はダメ。
- 熱帯の果物と柑橘系も身体を冷やすので避けるべき。
- カフェインや炭酸飲料もできるだけ避けるように。
- 体重が標準よりオーバーしている場合は、薬での治療よりも先に減量が優先(ただし無理はしないこと)。
No.1214
- 適度な運動も非常に有効。
- ランニングよりもウォーキング(ちょっと早歩きくらい)がいい。
→筋肉に疲労物質が溜まるような運動はパニック障害にはマイナスに働く場合が多い - 歩いていると両足の指をよく使う。→脳にいい刺激を与える
- 芝生や砂浜、プールの中でのウォーキングが効果的。
交感神経と副交感神経がスイッチする夕方に注意
No.1235
- 夕方に交感神経と副交感神経が入れ替わる。このタイミングで体調が悪くなる人が多い。
- なので、夕方にできるだけリラックスして身体を温めることが大切。入浴がおすすめ。
- まずは、42 ~ 43 度の熱めのお湯につかり、10 分くらい全身浴をする。そうすると、汗がバーッと出てくるから、いったん湯から上がり、身体を洗う。
- その後、湯の温度を 43 ~ 44 度ぐらいに上げて、半身浴を 5 分✗ 2 回繰り返す。
入浴後、身体をよく拭いたら、夏でも厚手のバスローブなど身体を冷やさないものを着込んで、それから 20 ~ 30 分、ペットボトルの水を飲みながらじっとしている。
そうすると、サウナに入った時よりもさらに身体の芯から大量に汗が出て、身体の中の老廃物も出て、血液の循環がすこぶるよくなる。
また、水を飲むことによって血液も薄まるから、熟睡できる。
さらに、続ければ続けるほど「肌もつるつるになる」という、女性には特にうれしいオマケもついてくるのである。
No.1283
- パニック障害に必要な呼吸法は「ゆっくり息を吐いて、ゆっくり息を吸う」。
- 寝る前や「予感」を感じたときに行う。
No.1331
- マッサージやストレッチで身体をほぐす
- 股関節や肩周り(特に肩甲骨)、首のストレッチが特に効果的。
- 最初は整骨院やカイロプラティックで施術してもらい、その上で毎日ストレッチを自分で行う。
パニック障害で生じた迷いは本があれば救われる
No.1435
- 迷っている人は、本があれば救われる可能性が高い。
- 精神的に不安定な時間帯(夕方頃)に書店へ行けば、必要な本に出会える確率が高い。
- 「うつ病本」などの難しい本より、面白いと感じる本を読む方がいい。
おすすめは、
- 『影武者徳川家康』(隆慶一郎)
- 漫画では『バガボンド』や『ゴルゴ 13』など
- 『「いい人」をやめると楽になる』(曽野綾子)
「パニック障害は自分で治す」という意識を持つこと
No.1456
- 「パニック障害は 100% 自分で治すもの」という意識を持たない限り治らない
- 「医師や薬に頼る前に、自分がどうなりたいか、どうあるべきかを考える」
- 昔の日本人の生活を手本に、「元」に戻すことが一番
- できる限り今の仕事を辞めないで、「パニック障害は自分の人生を見つめ直す絶好の機会だ」「人生の勉強だ」という気持ちで今の仕事に向き合う。
- 自分の意識を変えることが大事。
- 嫌いな人と会っても、流せる自分を確立すること。
自然と向き合い、対話する
No.1541
- 自然から離れれば離れるほど人間の身体は悪くなる。
- 地面がコンクリートで固められていない所に行って、自然に触れる。
No.1571
- パニック障害の人は「休んでいることに罪悪感を持つ人」が非常に多い。
- だらだらすることも重要。したたかに自分を甘やかす。
No.1657
- 自然と対話する。
- できるだけ遠くを見ること。空や宇宙の広さを感じる。
- 自分に合う空がある。方角を変えながら一番リラックスできる空を見つければいい。
No.1688
- オフの日は携帯の電源を切る。
- 無駄な人間関係の依存を無くす。
No.1698
- 挫けても良い。
- 落ち込んだときは自分をそのまま放っておいて、ふっと楽になる瞬間を待つ。
- 涙を流すこともこらえてはいけない。
No.1750
- 「これをやろう」「これだけは守ろう」と思ったことは、夜寝る前にとりあえず書き出しておく。
- 「もしも明日死ぬとしたら、今自分には何が必要なのか?」と自問自答する。→不必要なものに気づく。
No.1782
- よい本は脳と魂の栄養になる。
- その時読みたいと思うものが自分にとって「旬」な本。
No.1832
- 何事も「ほどほど」が肝心
No.1843
- 今の日本は「不自然」を強いる。正直な善人には生きにくい。→いかにしのぐか。
- しのぐ=したたかに、ずる賢く生きること。
- 自分の負担を少しずつでも軽くしながら、しのいでいく。
- そのためには「まあいいや、だいたいで」という意識で。
生きていく理由も、死んでいく理由もない
No.1898
- 「生きていく理由もないけど、さしあたって死んでいく理由もない」
→『賢人の知恵』(バルタザール・グラシアン) - 生きていく理由がないとしても、死んでいく理由もないのだから、いつか死ぬまでなんとか生きればいい
まとめ
主なトピックだけをザッと書き出してみました。
何か気になるものはあったでしょうか。
何か一つでも引っかかるものがあれば、ぜひ実際に本を読んで確かめてみてほしいと思います。
それが改善の第一歩になるはずですから。