知り合い(「友人」と言っていいんだろうか……)のイラストレーターと木版画家のユニット「オソボク」の、オープンアトリエに行ってきた。
お誘いの手紙をもらったこと、というか僕の存在を覚えていてくれたことが嬉しくて、のこのこ行ってしまった。
アトリエは天満橋にあるビルの 5 階の一室。
階段でフロアを上がるたびに不安が襲ってきて、ちょっと息苦しくもなったりして、何度も足を止めてしまった。
「「行くべき」なんて思ってないか? 本当に「行きたい」と思っているか?」という問いを自分に投げると、「行きたい」という答えが返ってきたので、それでまた歩き出したりした。
そんなこんなで、なんとか部屋まで辿り着いた。
二人ともすごく驚いていたけど、笑顔で迎えてくれた。
先に来ていた人たちが帰って 3 人きりになっても、僕と正面から対峙するわけでもなく、むしろ平然とウクレレの練習をしたりして、空気がとても軽かった。
道中ずっと「どういう顔で会おうか、何を話せばいいのか、どんなテンションでいけばいいんだろうか」なんてことを考えていたのがバカらしくなった。
不思議と自然に言葉が出てきた。
「あぁ、大丈夫だ」と思えて、安心したし、気持ちも落ち着いた。
もちろん以前とまったく同じようにというわけにはいかないけど、それでもちゃんと話ができた(はずだ)。
時間を忘れて、帰ることを忘れて、一つ所に居続けることができた。
本当に行って良かった。
いつ以来だろう。
こんなに落ち着いた気分で人と話したのは。
高校時代の友人と会って話すことはここ数年でも何度かあったけど、それとはまた違う感覚。
大人になり社会に出てから自分の意志と力で新しく作った関係が、今も生きている。
こうして話ができる。
そんな単純なことが嬉しかったし、有り難かった。
「愉快」。そう、愉快。
長い間探し続けてきた気分を、ほんの少しだけど見つけることができたような気がする。
この数年間に起こったことをどうやって伝えようかとも思案したけど、「いろいろあった」と言ったらそれだけで大体のことは見当が付いたみたいだった。
一応ちょっとだけ詳しく説明しようとしたけど、その反応を見るとやっぱり分かってくれてそうなので、それ以上言うのはやめた。
ああいう場でああいう話をするのはちょっと野暮だし。
「自分のペースで、それぞれのタイミングで」と言ってくれたのが素直に嬉しかった。
人と話したいとは思わない、なんてのは嘘だ。
僕はやっぱり人と話したいし、会いたいと思ってる。
ただ、その気持ちよりも恐怖心が勝ってるだけのことだ。
それを乗り越えるにはどうしたら良いんだろう。
いや、乗り越える必要すらないのかも知れない。
自分のペースで行くしかないんだから。
ちさとちゃん、原田さん、ありがとう。
また誘ってください。
手紙、待ってます。
[追記]
コーヒーと鯛焼き、ごちそうさまでした。