評価:★★★★☆
映画館(テアトル梅田)で鑑賞。
『萌の朱雀』『殯の森』に続いて、3 つ目の河瀬直美作品。
前 2 作に比べて多少分かりやすいような気がするけど、それでもやっぱり単純に一言で「こういう映画」「こう思った」と言うのは難しい。
タイトルの「2 つ目の窓」が何を指してるのか、結局最後まで分からなかった。
何となく「こんな感じのことかな」というのはあるけど、すごく感覚的で言葉にはならないモヤモヤした感じのものだから、何か意図があるならもう少しヒントが欲しかったかなぁ。
全体的にドキュメンタリー風な映像。
あのお年寄りたちは現地の人たちなのかな?
言葉も表情もすごく自然で、とてもいい味出てた。
常田富士男はさすがに分かったけど、完全に現地の人に見える。
松田美由紀もすごかった。
基本的には自然豊かな島の風景が映ってるけど、別にそれを手放しで礼讚してるわけじゃなく、むしろその厳しさや激しさを強調すらしてたような。
そしてそれを乗り越える力のようなものが、監督が今回撮りたかったテーマに合ったモチーフとしてこういう風景の中に含まれてたのかなぁ、と。
都会(東京)がダメだと言ってる訳でもないし。
というより、どういう環境で生きてそして死んでいくかは人それぞれ自分で決めることであって、人がどうこう言っちゃいけない、ということを言いたかったのかな、とも思う。
「お母さんは神様だから」が普通の会話として成立して、尚且つそれをベースに生活を送ってる世界があることに驚く。
そりゃあ都会とは根本的に価値観が違うわな。
BGMはほとんどなくて、非常に静かで穏やか。
その分、波や嵐の音が印象的。
歌の本質ってやっぱり祈りなんだなと思った。
作品の核として描かれてるのは「生と死」「命のつながり」「豊かさとは何か」のようなもの。
最初のシーンは色んな意味でなかなか衝撃的。
R15 指定になってるのって、性的なことより実はこっちが理由なんじゃないかとさえ思うくらい。
島唄に字幕は要らないと初めは思ったけど、その内容が分からないと効果が薄れるからなー。微妙なところ。
最後のいくつかのシーンの大事な部分(セリフの途中など)でカットが多いような気がした。
時間的な流れもそこで一瞬切れてしまって「編集した」ということを意識してしまうので、無理矢理でも長回しで行って欲しかったかなぁ。
説明調なセリフが多かったのもちょっと気になる。
主役の少年役は表情や雰囲気は良いと思うけど、喋るとちょっとまだ不自然。
今後に期待、か?
僕と同じ列に座ってた老カップル(たぶん夫婦じゃない)が、最初から最後までずっと喋ってた。
ずっとというか、15 分置きくらいにヒソヒソ話を繰り返していて、もうとにかく邪魔で邪魔で。
注意しようかとも思ったけど、ちょっと距離があったし余計に楽しめなくなる気がして思い止まった。
席に着くときビールとナッツを持ってたのが見えて嫌な予感がしたけど、当たって欲しくない方に的中。
思わず笑ったり驚いたりして声が出るのは分かるし気にならないけど、ラーメンを作ってるシーンで「あれ、ラーメンやな」って、言う必要ある?
派手なアクション映画とかでずっとドンパチやってるような作品ならまだしも、この作品はそういう類の映画じゃないはずで。
ケータイも何回かパカパカしてたし。
いったい何なんだろう。
ああいう人たちって周りの迷惑を考えることがないんだろうか。
家のテレビを見てる感覚なのかな。
自分たち以外誰も居ないなら勝手にやってくれればいいんだけど。
まったく理解できない。
これまで誰からも指摘されなかったのかなぁ。
可哀想に。