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感想とか

『統合失調症がやってきた』(ハウス加賀谷・松本キック 著)を読んで。

投稿日:2014年1月18日 更新日:

統合失調症がやってきた』を読んだ。

「あぁ、分かるなぁ」という共感と、「ここまではひどくないな」という驚きや距離感のようなものが、読みながら交互にやってきた。
精神疾患に罹る人には何かしらの共通点があるのか、それとも人それぞれに多かれ少なかれそういう要素を持っているということなのか分からないけど、僕にはかなり身近な話題として感じられた。

統合失調症の当事者であるハウス加賀谷の断片的な話を、相方である松本キックが取材して文章としてまとめるという形でこの本は出来上がったらしい。
そりゃそうだよな、と思う。
つまり、当事者が自分の症状や状態や感情などを、自力で一つの物語にまとめ上げることなんてできるはずがない。
家族でもなく、友達でもなく、相方という立場だからこそ書けた本なんだろう。
著者がコンビ名である「松本ハウス」ではなく、「ハウス加賀谷・松本キック」と個人名になっていることからも、それぞれをちゃんと尊重し合っていることが伝わってくる(他の事情もあるのかも知れないけど)。

幻聴や幻覚(幻視)の症状、精神病院の閉鎖病棟での入院生活など、かなり壮絶な描写も多い。
同じような症状を抱えている人が読んだ場合、もしかしたらかなりつらい方向へ気持ちが引っ張られてしまうかも知れない。
ただ、当事者の体験や心情の変化、社会復帰への道程といった貴重な内容もたくさん盛り込まれている。
学術的にはどうなのか分からないけれど、多くの人にとって一読の価値は充分にある本だと思う。

社会や世の中に対して不満を感じたり、家族や周りの人と素直に関われなかったり、生きていくための答えを本に求めたり、必死にやって評価されるほど自己否定に陥ったり、「似てるなぁ」「おんなじだなぁ」と感じるところも多かった。
特に「負の力」という表現はしっくりくるというか腑に落ちるというか、自分の過去を反芻してみて「あぁそういうことだったのか」と納得させられる言葉だった。

逆に羨ましいのは、お笑いという信じる居場所が彼にはあったということ。
もちろんその分しんどい思いもしてきてるはずだけど、本気になれることを一つでも持っている人は、たぶん強い。
いや、強いって言っちゃいけないか。
何て言ったらいいのか、固い? いや、違うな。
真っすぐ? 純粋? うーん……。
まぁとにかく、あんな風に本気で向き合えることを見つけられたら、人生って違ってくるんだろうな。
それをちゃんと受け止めてくれる人が居る、ということも前提になるけど。

良いなぁ、本当に。
あとがきで「ぼくは幸せ」って書いてあるのが、そういうことを書けることが、本当に素晴らしいと思う。

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